インド国立文学アカデミー会長さんのお話聞いてきました
13日の日曜日、前記事で書いたように、国際子ども図書館のイベント、
『インド児童文学の現在』を聴きに行きました。
お話してくださるのは、インド国立文学アカデミー会長シュニル・ゴンゴパッダエ氏。
インド文学界で大きい位置を占めつつも、子供向けの本も30冊以上書かれているそうです。
今回、撮影禁止だったのですが、大江健三郎さんのような風貌、知性とユーモアと批評精神のあふれたまなざしの方でした。
お話の内容は、いずれ国際子ども図書館の講演会記録ページが作られると思いますので、注目したい点を。
インドは800もの言語が用いられていて、そのうち公用語に指定されているのが22言語。
国立文学アカデミーには、そこに英語も含めた二言語足して、24の言語セクションがある。
そんなに言葉があるので、会長である自分ひとりではできないことなので、各セクションにリーダーがいて、ゴンゴパッダエ氏自身は、ベンガル語である。
(講演は英語でした)
ところが、インドには、大きい共通文学財産がある。
それは、『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』。
だから、いろいろな言語で書かれた絵本も、この二作が題材になっていると、違う言語でもどんなお話かわかる。
ベンガル語児童文学について
インドでは、祖母祖父が子供たちに昔話をしていた伝統が核家族化でくずれてきつつあるといっても、その伝統ゆえ、一般の文学の作者も積極的に児童文学を書いている。
そして、児童文学を書くということは全く報酬の少ない仕事で、それ専門では食べていけない。
奉仕活動といってもいい。
しかし、ベンガル語文学圏には二つの大きいファミリーがある。
一つは、タゴール一族。
アジア人で初めて、1913年ノーベル文学賞を受賞したラビンドラナート・タゴール。
彼もたくさんの児童文学を書いていて、インド児童文学界では「古典」となっている。
また一族は大きく、その中の女性たちも、児童文学作家となっている。
タゴール一族といえば!
一族のお一人に嫁いだ日本人の方の本タゴール暎子『嫁してインドに生きる』(ちくま文庫)は私の愛読書なんです!
インドが文学の国だということを、欧米・日本すべてあわせても、初めて私に教えてくれた本でもあります。
おすすめです!
もう一つはレイ一族。
中でも、サタジット・レイは映画監督としては世界的に有名だが、彼自身、児童文学をたくさん書いている。
レイの父親と祖父も児童文学作家であり、タゴール一族と違うところは、レイ一族は児童文学だけを書いている、ということ。
さがしてきました、シュクマ氏とサタジット氏の児童書画像。
シュクマ・レイ氏を始め、アマゾンUKサイトのレイ一族の児童書
中でも、父親のシュクマ・レイ氏は、児童文学界の王者であり、彼の名を知らない人は、インドでは教養人とはみなされないくらい。
作品のヴァース(詩句?警句?)は、格言となっているくらいだし、キャラクターも有名。
けれど、彼の作品のよさは、隠れたユーモアであるので、翻訳はとてもむずかしく、それゆえ、日本では知られていない。
自分の大好きな作家で、彼は32才、息子サタジットが2才のとき、病気で亡くなってしまった。
ということで、最後の美しいベンガル語の詩を、息子サタジットが英訳したものを読み上げてくれました。
それは、虹のむこうに想像力をとどめることができない世界がある、というふしぎな美しい詩でした。
講演最後に、ゴンゴパッダエ氏の児童文学を映像化したDVDをほんの10分ほど見せてもらえました。
ベンガル語に英語字幕がついたもので、全体は90分だそうです。
タイトルは「King of the Green Island」だそうです。
舞台はアンダマン諸島。そこに、かつて植民地時代の孤島の牢獄があり、自由運動に関わった政治犯が投獄され、虐待されていた。
脱走しようにも、密林には、毒矢を使う敵意あふれた裸族がいる。
ところが、ある日海に飛び込んで逃げた男がいた・・・。
時は流れ。
少年カカバブは、気が弱く、足も不自由な病弱な少年だが、鋭い頭を持っていた。
彼らは、先生の指導で、このアンダマン諸島の裸族の調査に行くのだが、そこには不思議な発光体があり、それをねらうギャングの一味も偶然この島にやってきていた。
はたして、カカバブたちは裸族の中でギャングとどうなるのか。
そして昔海に飛び込んだ男はどうなったのか・・・。
結末は、ネタバレになるので、教えませんよ、とゴンゴパッダエ氏はにっこり。
映像は、80年代ふうのパンタロンズボンとはいえ、少年たちがユーモアたっぷりな会話をかわしていて、なかなかの作品。
おまけ・ベンガル語の児童書はどこで買えるか。
これは、質問コーナーで出て、実際にデリーなどの書店でさがしても、児童書は英語の本ばかりなのだけれど、ベンガル語やヒンディー語の児童書はどこで買えるのでしょうか、という質問に・・・。
今若い家族は、英語中心で子供を育てようとしている、とのことと、インドのことばの児童書は、大学付近の書店に行ったら見つかる、とのことで、これは、児童書が一番多く売られているのはタイでもチュラーロンコン大学の書籍部(教育学部コーナー)という状況と似ていておもしろかったです!
しかし、幸いといってもいいでしょうが、一般書店でもタイはタイ語の図書なんで、そこはいいかな。
ゴンゴパッダエ先生の反対質問
インドの方々というのは、インド映画で見た印象では会話をはずませ、ユーモアをたっぷり入れる、ものですが、ゴンゴパッダエ先生のそんなところがかいま見えたのが、質問コーナーで、
「私から反対に聞いていいですか?
そもそも、売れる児童書ってどれくらい売れてます?そして日本でも、大人の本の作家が児童文学を書くことがありますか?ざっくばらんに教えてください」
と身を乗り出して、たずねられたのです
。
これについては、図書館司書の方が答えておられました。
また、国際子ども図書館のデータでは、今世界で一番売れている児童書は、
一位『星の王子さま』600万部
二位『ハリー・ポッターと賢者の石』500万部だそうです!
今回行ってよかったのは、インド関係にこんなにたくさんの児童書そのほかがあるとわかったこと!
また、日本のインド文学の先生ともお会いできたことでした。
いくつか覚書で、続きに本をあげておきますので、ご興味のある方もぜひ。


































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