2009/12/22

『イザベラ・バード日本奥地紀行』で『JIN』世界の衝撃事実を知る!

今日は、今年最後の眼科健診の日。
何度もやっているので、視野検査はすっかりゲーム気分・・・coldsweats01
だけど、大病院なので、待ち時間が長いんですよねー。
しかたないので、冬の図書館休館前に冬休みの楽しみに借りてきた本から、1冊持って行ったのが、

『イザベラ・バード 日本奥地紀行』(平凡社文庫)。

これがなんと!
1878年、つまり明治11年、イギリス人の女性が、助手に雇った伊藤という日本人と二人だけで、当時まだ外国人のふみこんだことのない東北地方から北海道のアイヌの村まで旅行して、そのときイギリスに送った書簡集の記録なんです。

すごい勇気!と思ったら、実は本当に安全だったとか。
この本を借りたのは、先日題名にひかれて借りた『辺境の旅はゾウにかぎる』(高野秀行)という本の中でお勧められていたから・・・。
まさに当時、イザベラ・バードにとっては、「辺境の旅」ですよね。
で、それだけで借りたのではないんです。
実はこの、助手伊藤が秘めた恋心をよせる、という小説『イトウの恋』(中島京子)という本まである、と紹介されていて、ロマンス気質な私としてはこれは!
読んでみたい!と・・・lovely
ということで、両方借りてあるんです。

で、先に読んでる本編?のほうですが、まだ日光を出たばかりで、伊藤さんとの恋は始まってそうにありません・・・。
ま、ほんとはそんな仲ではなかったんでしょうが、そこはそれ、行間から妄想を・・・bleah

しかし、そんなことより、当時の日本について、衝撃の事実が!

イザベラさんは、日本に来るやいなや、アーネスト・サトウや、ローマ字を発明したヘップバーン(ヘボン)博士や、イギリス公使など、みんなから、

「日本の夏には蚤はつきもの」

と警告されるのです!!coldsweats02
それも、はんぱない量とゆう!!

そして、まさにそのとおり、イザベラさんは蚤と蚊の大群の来襲に、宿に泊まるたびに悩まされ、持参の蚊帳と足つき簡易ベッドでなんとかしようとするのです・・・。

ということは、明治11年でさえそうなんですから、現代からタイムスリップしたお医者さんのお話だった人気ドラマ『JIN』でも、仁先生は、実は蚤に(少なくとも医学館なんかで寝泊りするときは)悩まされていたのでは・・・!!

さらにイザベラさんは、既に開通していた鉄道で新橋まで行くのですが、

「下駄の音がうるさい!」

なるほどー、当時はみんな下駄ですもんね!
今の新宿駅の乗降客がみんな下駄だったら、そうとうな騒音ですよね~~。

しかし、いいことも書いているんですよ。

「これほど子供をかわいがる国を見たことがない」とか・・・

屋敷の奥様たちの、とても優雅なしぐさや、使用人たちが言葉も通じないのに、りこうでよく気がきくとか・・・。

この点は、くやしいですが、今の日本女性たちよりずっとよかったような・・・。
ということや、咲さんや栄さまのような女性は、ほんとうにいたということですね。

・・・
ほかに借りているのは、『ストラヴァガンザ』(メアリ・ホフマン)という分厚いファンタジー3冊シリーズです。
もともと、「本グルメ」の友人がおもしろいと言っていたのと、先日読んだ同じ作者の『聖人と悪魔』がおもしろかったから。
は~早く、お正月三日目くらいになって、ひまになりたいです!

| | コメント (2)

2009/11/23

『1Q84』の音楽が今週テレビでおもしろい解説付きで聴けます!

村上春樹さんのベストセラー『1Q84』。
続編にも着手されているのでは、と取りざたされていますが・・・。

この小説に出てくる重要なモチーフとして、「ヤナーチェクのシンフォニエッタ」という音楽があります。
この音楽、私も全く聴いたことがなかったのですが・・・。

名曲の背景を、ドラマ仕立ててわかりやすく解説してくれる『名曲探偵アマデウス』!
なんと、今週はそのヤナーチェクの『シンフォニエッタ』です。
リピート放送で、
11月24日(火)BSHi 午前8時~
12月4日(金)BS2 午前8時15分~
そしてなんと!地上波でも! 
12月11日(金)NHK総合 午後3時15分~
見ることができます!どうぞお見逃しなく!!!
いや~~~やっぱり、変わった音楽でした~~~。coldsweats01

なお、私の『1Q84』読んだときの感想みたいなものはこちらです。

| | コメント (0)

2009/08/09

8月に読んだ本の記録(自分用メモとして)

図書館で借りて読んだ本で、あとからまたさがしたいときが出そうな本のメモのために、この記事を作りました。
そのつど追記していきます。
個人用メモなので、感想などは書きません。

book8月1日 長倉洋海 『子どもたちのアフガニスタン』(岩波ブックレットNo.559)

book8月1日 斉藤洋 『ベンガル虎の少年は・・・』(あかね書房)

book8月3日 中川なをみ『龍の腹』(くもん出版)

book8月4日~8日 「おはなしのピースウォーク」シリーズ (日本児童文学者協会編・新日本出版社)diamondおもしろかったと思った作品。

 1.『まぼろしの犬』 収録作品・岡田依世子『辛子入り汁かけ飯』中原光『しゃもじい』島村木綿子『まぼろしの犬』最上一平『おばけイチゴを食べた日から』(お父さんが自衛官でイラクへ派遣・イラクの話は出てこず・・・実際に自衛官の声をきいたか?)木村研『サンタクロースをやめた日』川北亮司『真夏のバトルフィールド』おわりの発言・西山利佳

 2.『扉を開けて』 収録作品 白川タクト『死んでもいわない』(アフガニスタンの少女・・・実際に現地の声をきいたか?)守田美智子『扉を開けて』高橋うらら『マルコのサッカーボール』(コソボのアルバニア系とセルビア系少年・・・実際に現地の声をきいたか?)那須正幹『新しい憲法のはなし』diamond後藤竜二『原野の火』きどのりこ『なぐさめの星』おわりの発言・奥山恵

 3.『空はつながっている』 収録作品 大浦絵里『枯れ木林の子どもたち』(ベトナム・・・実際に現地の声をきいたか?)濱野京子『空はつながっている』(おじさんがフォト・ジャーナリストでイラクに行っている・・・実際にフォトジャーナリストの声をきいたか?) 一色悦子 『麦ほめに帰ります』 diamond吉橋通夫『五つの川柳物語』(川柳作家・鶴彬 diamondあまんきみこ 『黒い馬車』 diamondあさのあつこ『ぼくらの足音』 みおちづる 『未来の少年』 おわりの発言・長谷川潮

book8月8日 有川浩 『レインツリーの国』(新潮文庫)おもしろかったー、さすが。

book8月9日~17日 「おはなしのピースウォークシリーズ」

 4.『傘の舞った日』 収録作品 はたちよしこ『風に』 水谷すま子 『傘の舞った日』 島田和子『砂漠の町のタチアナ』(アフリカ) 佐藤佳代 『幕の向こうに』 皿海達哉 『一寸の虫にも』 村山早紀 『トロイメライ』 加藤多一 『やせ馬ポンコの朝』 おわりの発言・藤田のぼる (憲法九条について) 「これまでの歴史で戦争に負けた国は数知れずありますが、そうした国の人たちが考えたことは、むしろ「負けたうらみは必ずはらす」「今度こそ負けない」という復習の誓いであったことがほとんどでした。その点では、日本は歴史上ほとんど初めて、戦争に負けた国なのに報復でなく非戦を誓った国といっていいと思います」

 5.『地球の心はなに思う』収録作品 高木あきこ 『戦争が過ぎたあとに』 小川英子 『続アンネの日記』
今関信子『地球の心はなに思う』(イギリスに駐在する日本人) とうやあや 『ぼん平のいなくなった夏』 佐々木赫子 『イチイの木のふしぎ』 李慶子 『ウトロはふるさと』 長崎夏海『次の言葉』 おわりの発言・相川美恵子

 6.『こすもすベーカリー物語』 収録作品 小暮正夫 『星』 岡田なおこ『こすもすベーカリー物語』 松浦信子 『ハーモニカ』 詩雨ゆず 『ひぃおばぁとジュゴン』 diamond坂本のこ『ビスケットと少年』 砂田弘『ひいじいちゃんの戦争』 中澤晶子 『森口朝子の手紙』 おわりの発言・森達也

book8月17日 ルーマー・ゴッデン『クリスマスの女の子』(福武書店) おもしろかった!

book8月17日 パトリシア・マクラクラン 『明日のまほうつかい』(福武書店) 泣ける!

book8月17日 エリザベス・ウィンスロップ 『あらしのくれたおくりもの』(福武書店)これもおもしろい!

book8月21日~22日
          ヴァルトヘルン・ベーンケ 『空とぶブタ ゴットフリート』(福武書店)

          イリーナ・トクマコーワ 『いってらっしゃい、イーブシキン』(福武書店)

続きを読む "8月に読んだ本の記録(自分用メモとして)"

| | コメント (0)

2009/07/28

みんぱくで見たガネーシャと『インドへの道』

先日国立民族学博物館へ行ったとき、興奮したのが、インドのコーナーに、たーーーくさんのガネーシャ像があったことhappy02

この石版は実は横長で、さまざまなガネーシャのレリーフがあったんです。
セクシーな女神さまたちの肩を抱くというのもありましたが、これは、ガネーシャの乗り物である「ネズミ」がよく見えていたから。

素朴なものから

凝ったものまで(近くに、乗り物であるネズミもいます)。

ガネーシャマニアのみなさま(?)は、ぜひみんぱくへ!
まだまだありましたよ!

というところで、何回か挫折しかかりながら、これは読んでおかないとだめでしょう・・・
というE.M.フォースターの『インドへの道』をやっと読み終わりました。
映画は、アメリカで字幕なしで見た、つまり半分くらい意味わからなかった(苦笑)ので、またBSでやってくれないかなー。

主人公は、インド人だけど、イスラム教徒のほうなんですね、ヒンズーでなく。
これって、『スラムドッグ・ミリオネア』といっしょですねー。
なぜに?!

というところで、続きは、マニアックすぎるのとネタバレありなので自分用のメモとして書いておきます。
まぁ~・・・
ご興味のある方は、どうぞ!

それにしても、これが本当に、背景にあったことなのでしょうか?
バーネットの『小公女』や『秘密の花園』に出てくるインド帰りの紳士や少女たちの?


続きを読む "みんぱくで見たガネーシャと『インドへの道』"

| | コメント (4)

2009/07/15

アジア系アメリカ人の移民の物語と私の住んでいた村

今ちょっと気になることがあって、アジア系の家族のアメリカ移民の本を読んでいます。エィミ・タンの『ジョイ・ラック・クラブ』は中国系。これは一般文学ですが、シンシア・カドハタの『草花とよばれた少女』や『きらきら』は日系移民のヤングアダルト児童文学です。
そして昨日読んだのが、韓国系移民のヤングアダルト児童文学アン・ナの『天国までもう一歩』でした。
韓国系移民の物語があるとは知りませんでした!
出版元の白水社サイトに「ちょっと立ち読み」ページがありました。

私はニューヨーク郊外ロング・アイランドのナッソー郡に三年住んでいたのですが、日本食料品の買出しは、週1回、オットの車(アメリカ車・・・アメリカ人社員は日本車に乗っているけれど、日本人社員はせっかくだからとアメリカ車に乗っていて、アメリカ人社員にどうしてそんな燃費の悪いのに乗るんだ、と言われていたらしいです・・・)で、ナッソーよりマンハッタンに近い、クイーンズ区のフラッシングにある「大道」というお店に行っていました。

さがしたら、なんとその「大道」を撮影した(私が)写真があったーー!coldsweats02

というのも、この大道、今検索したら、どうやらフラッシング店はなくなって、マンハッタン北部のもう一つの日本人の多い地区ホワイトプレーンズのお店だけになっているようなんです

こちらにサイトがありました。

ふーむ・・・当時からクイーンズ区フラッシングは韓国人街になっていたので、日本人は奥のナッソーに移ったと言われていて、実は大道も、当時は、韓国人経営だったと聞いています。

ただ、かつては日本人居住区だったということで、日本人子弟のための日本語補習校はこのフラッシングにありました・・・というか、調べたら、今もそこにあるようです。
補習校というのは、アメリカでは現地校にいく駐在員子弟が多いのですが、日本語力や日本への帰国のためなどで日本式授業を現地校の休日である土曜日に行っている学校です。
外務省の管轄のもと、文科省、海外子女教育振興財団との協力体制で運営されています。

、今はそのフラッシングも、インド人街になっていて、韓国人が奥のナッソーに移った
日本人はニュージャージーに会社も居住区も移ったらしい・・・と。

同じアジア系といっても、コミュニティは画されてしまうようなんですね。

といっても、私が出産のために受け持ってもらっていた産科医は、このフラッシングの中国系の医師の方だったし、フラッシングの病院で無事出産後、実家の親などには来てもらえなかったので(心臓が悪いので飛行機に乗れないんです)、お願いしたベビーシッターは、韓国系のおばさんでした

ナッソーの村も私たいたころも、既に移民の街化していて、おとなりは家主のイタリア系移民、反対どなりは韓国人一家、お向かいはスウェーデン人一家、町の無料の英会話スクールのクラスメートはインド人、ブラジル人、バスク人、アルメニア人、メキシコ人などなどでした。
全員移民で、駐在員は日本人だけでした。

以下、いちいち携帯に送ってモブログで送り返すのがめんどうなのでcoldsweats01添付にしますが、すみませんがクリックして拡大してくださいね。

Ny2

そうは言っても、村の建物は、このようなアメリカふうの一軒家が多かったです。
このおうちは、特にきれいなおうちでした。
マンハッタンまではロング・アイランド鉄道が通っていて、一応駅前はメインストリート(といっても、しょぼい)なんですが、そこの店では、生粋の白人らしき人々がたまに小声で、
「移民ばかりがふえて・・・」とささやいている人もいました。
(私がわかるまいと思ってか)

Ny3

村にも小さなアジア食材店がありました。
このスーパーマーケット地区です。
そこは中国系の姉妹の経営でした。
おとなりにはテイクアウトできる小さいチャイニーズレストランもありました。
ここが美味しくて!
臨月のとき、なんかしんどい夕方、ここでテイクアウトした美味しいチャイニーズを食べたんですが、翌日娘生まれました。

Ny4

ロングアイランド、というだけあって島なんで、ちょっと歩くとすぐ海です。
ヨットハーバーなどがありました。
とにかく空気がよくて!
海の香りと、村を包む樹木の香りで。

Ny7

池にはカモが。
カナディアングースの群れが来ていました。
春になるといっぱいのひな!
ガチョウのおばさんも乳母のようにめんどうみていました。
(実際、ガチョウにはそういう特性があるらしいです)

Ny5

村では年に1回、海沿いの道で、手作りのマーケットフェアが開催されます。
子供がまだいなかったころ、お友だちを作るために、日本人の駐在奥様の教える籐細工のクラスに行っていて、そのクラスで店を出しました。
おとなりのお店がハンサムにいさんの陶器のお店でした・・・。
この笑顔のように、実際は私自身はいやな思いをしたことはありません。

Ny6

ドラゴンの出てくる人形劇もやっていました。

私たち夫婦は当時は若くてやせていたこともあり、マンハッタンに行くと、ご陽気な黒人のみなさんに
「ハロー、ミスター・アンド・ミセス・チン!」
と呼びかけられるので、おもしろく思っていました。

上に挙げた3冊の移民の物語のうち、『草花とよばれた少女』では、日系の少女が、インディアン(原文を使います)の少年というたがいにマイノリティ同士で交流します。

でも、この韓国系の『天国まであと一歩』では、主人公のお母さんがどうやら和食系のお店で、日系のウェイトレス仲間と互いのことばまじりで仲良くおしゃべりしているようすが描かれています。

三作とも、苦労しながらも、母国語より英語がじょうずになった世代としてアメリカ人として根付いていこうという気持ちが描かれています。

ちょうど届いたJBBYの会報102号の中で、
「アメリカではアジア系作家が英語で書く作品を、「アジア児童文学」と呼んでいる」というのを読んだばかりです。
しかし外見はアジア系でも、精神はアメリカ人なのでしょうか。
それにアジア人同士ということで交流はあるのでしょうか?

そういえば、この物語では、韓国から移ってきたお父さんは庭師などをして日銭をかせいでいたようですが、私が住んでいた村では、庭師といえば、メキシコ移民の職業ときまっていました。

| | コメント (4)

2009/07/07

釜原大くんの新作は『空と、緑と、タイ』

台湾駐在時代の親友に紹介された、好青年旅人、釜原大くん。
『惑星インド』でデビューしましたが、第二作が、なんとタイ!
新作『空と、緑と、タイ』を送ってきてくれました!


ありがとうー!

しかも旅の第二弾、タイだったんだhappy01
サプライズにしようと、いきなり送ってくれることにしたんだそうです。

表紙の写真、きれいですねー。

前回会った時(記事はコチラ)、おばちゃんたち勝手に、

ロマンスを入れてheart04ユーモアを入れてbananaしかもほのぼの系でnoodle・・・

と勝手なことを言いましたが・・・

全部入ってましたcoldsweats01

タイ関係のマイミクさんたちは、どちらかというとディープなタイ情報が多いですが・・・

全くのまっさらな初々しい気持ちでのタイ初体験、がかえって新鮮に読めます!
そのわりに、バンコク、チェンマイ、ピピ島、ムエタイ、と四方に行っています・・・。

それに、タイってやっぱり行くといい国なんだ!
って思ってもらえるように書いてくれているのがとてもよかったです

そのあたりはとても上手だなあーと思いました。

釜原くん、次の旅も楽しみにしてますね!

| | コメント (2)

2009/07/02

『戦火のバグダッド動物園を救え』おもしろい本見つけた!

またまたおもしろい本見つけました。

ローレンス・アンソニー&グレアム・スペンス『戦火のバグダッド動物園を救え』(早川書房)です。

今までも戦争ジャーナリストの書く本は何冊か読みましたが、申し訳ないけれど、それらを凌駕するくらい戦争とはどういうものかよくわかりました!

それはなぜかと考えたら、戦争ジャーナリストの方々は命を危険にさらしてはいるのですが、あくまでも「観察者」の目線。
でも、この本の主役ローレンスは、過酷な状況の動物たちと動物園、そしてイラク人スタッフを救おうと奔走する、つまり「生活者」としてその土地に参加して生きているんですね
そこが「戦争とはどういうものか」より深く伝えることになってるんだと思います。
ましてや、人間でさえたいへんな時に、動物園の動物を救う、ってどういうことだろう・・・
と考えさせられますし。

フセインのバグダッド陥落のニュースに、南アフリカでトゥーラトゥーラという自然保護地区を作って活動していたローレンスは、世界の紛争地の動物園の動物たちが、今までどれほど悲惨で残酷な目にあっていたかを思い出します・・・。
人間が生きのびるさえたいへんなことですから、誰も動物園の動物たちのことまで考えません。
動物のえさより、人間の食料。
自分の家が瓦礫に沈むのに、動物たちの衛生状態など考えられず・・・。

しかし、動物園の動物たちとて、生きているものには変わりない。
自分が行かなければ、と決心するローレンスですが、まず入国するときから、困難と苦労と恐怖が始まります。

そして・・・かつては年間150万人もの人が訪れた、中近東一の動物園だったバグダッド動物園が、今は戦争のレッドゾーンのど真ん中にあり、砲撃や銃声のまっただ中の、アメリカ軍の駐屯地となっていたのです

清掃するものもなく汚れきった檻、水も食べ物のなく、餓えと病気で死に掛けている動物たち・・・。
めぼしいもののほとんどが略奪者によって奪われている・・・。

アメリカ人というだけで命があぶない状況の中ローレンスは
「自分は中立国南アフリカ人だ!」となんとか主張しつつ、動物たちと動物園スタッフを守るための行動を開始します。
(このあたり、白人というと私も欧米人ひとからげにしてしまうので、ちょっとおもしろかったです)

こういうの読むと、いつも、南アフリカ人だろうがだれだろうが、白人の人たちのバイタリティとワールドワイドな視点や理想愛には驚かされずにはいられません。

『積みすぎた箱舟』のジェラルド・ダレルを思い出します。(この本もすごくおもしろいです)
彼も、絶滅動物を救うための動物園をジャージー島というところに作ってしまったんですよね。

ローレンス・アンソニーのサイトが二つ見つかりました。英語版ですが・・・

Lawrence Anthony Friends and Family

Lawrence Anthony's Homepage

ジェラルド・ダレルの動物園のサイトはこちら。(英語版)

Durrel Wildlife Conservation Trust

11月くらいに、とある場所で「もしも児童文学に国際理解文学賞があったら」というテーマでお話しようという計画があるので、今はいろいろそうした本をさがしたり読んだりしています。

おもしろいのが、今回のこの本の原題がBABYLON’S ARK。(バビロンの箱舟)。

ダレルの『積みすぎた箱舟』の原題がThe Overloaded Ark。(そのまんま)

やはり、こうした方々には、動物を救うということは、「ノアの箱舟」のイメージ(それは人類への罰と再生でもある)と直結するのですね。

| | コメント (0)

2009/06/07

村上春樹『1Q84』読みました

突然ですが、村上春樹さんの、長編とエッセイが好きな私ですlovely
(短編と翻訳はまぁまぁです)

というわけで、『1Q84』は発売日に、上下巻とも大人買い~太っ腹~!
(ってこれで太っ腹というところが、最近の経済不況によるわがやのフトコロ具合を表している・・・)

村上春樹さんって、「たとえ(まるで~のように)」がとても独特で、注意をひかれますよね。
そのおもしろさ、ユニークさは、まるで(あ、たとえ!笑)翻訳児童文学・昔の岩波系、翻訳者が特徴ある・・・という作品に出てくるたとえ、という感じです。
で、そういうことから、あたかも「さわやか系」のように印象づけられそうなところを・・・

実は怖い!coldsweats02
すごーくすごーく怖い!
怖くて読むのやめられなーい・・・
おすましして、たとえを述べながら、そして描き方もどろどろしてないのに・・・
すごーくすごーく怖い!
まるで暗い森の沼のほとりに行きあたったみたいに怖いですぅーー。
かといって、いやな怖さでないんですよね。
もう、沼と向き合わなければしかたない、みたいな。

今回もそうでした!

で、今回は、「1984年」→「1Q84年」なんですが、わりと題材が身近なものなところが、今までと違うなぁ・・・
というところ。

あと、今までは、「おしゃれな(まるでわたせせいぞうさんのイラストのような)カップルもしくは夫婦」が主役、というイメージだったのですが、
今回は「親子」っぽい感じ・・・
「見守る・見守られる」が、親子まで行っちゃったか?
という感じが、村上さんの年齢からくるものか・・・と思わせられました。
だから、『海辺のカフカ』より、ずっと身近にひきつけて読めました・・・。

あと、キャラクターが今までよりも、血が通っている感じ(身近にいる感じ)で、魅力的でした。
そこがさらに読みすすめられたところ。
青豆さん、天吾くん、ふかえりちゃん、タマルさん。
みんなよかった!

でも、身近といっても、世間くさくないですよ、やっぱり。
怖いですよ~~~~。

ただ、私からすると、青豆さんと天吾くんの最後は、入れ替わっていたほうがおもしろかったかも・・・。
(単に感想)

今までの長編の中でも好きな作品の上位になりました!

ちなみに私が好きなのは・・・
長編だと、
『ねじまき鳥クロニクル』


エッセイだと、 笑える系が、
『THE SCRAP 懐かしの1980年代』
『うずまき猫のみつけかた』
考えさせられる系だと、
『遠い太鼓』
『やがて哀しき外国語』です。

| | コメント (8)

2009/03/02

娘に読んでいるところを見られたくない本

今日は家の用事で外出したついでに、大きい本屋さんがあったので、そこでリラックスタイム~。
「森林浴」ならぬ、「本林浴」ですね。

そして・・・ついつい買ってしまっためめしい(?)本。

それは・・・

重松清『とんび

と、マンガ青沼貴子『かわいいころを過ぎたら

いずれも、子どもが成長して、親離れするときの親の離れがたいキモチを描いたもんで・・・。
こんなの読んで泣いてるとこ娘には絶対見られたくないわ~、と思いながら、『とんび』で鼻をすするワタシ・・・。
たぶん、思いっきりひかれてしまうでしょ~~。coldsweats01

といっても、どっちも男の子の話なんですよねー。

以前マンガ家の柴門ふみさんが育児エッセイで、柴門さんは一男一女の母なんで、
「女の子を育てていると、若い娘にみつぐオヤジの気持ちがよくわかる。
男の子を育てていると、若いツバメから慕われる気持ちがよくわかる」
・・・というようなコトをおっしゃっていたような?(うろ覚え)

実は、育児エッセイやマンガはあるけど、思春期をすぎた娘との生活を描いたものってあんまりないんですよね。
森瑤子さんの『ファミリーレポート』くらいかなあ。

理由は・・・きっと娘さんが怒るからででしょう(笑)。
うちも、あんまり自分のコトは書くなとくぎをさされてますcoldsweats01

柴門さんに、そういうエッセイ書いてほしいなぁー。

| | コメント (8)

2009/02/20

『武士道シックスティーン』すっごくいいです!

今、女性に対する最高のほめことばは・・・「男前」!じゃないでしょうか・・・?happy01
そんな「男前」になる前の段階の、二人の剣道少女の青春成長物語・・・
誉田哲也『武士道シックスティーン』と『武士道セブンティーン』。

またまた、「本グルメ」の友人の強いおすすめで、図書館にリクエスト。
いや、これも、タイトルからだと、あまり読む気にならなかったのですが・・・(いろいろ誤解しててcoldsweats01)。
いや全く!まじめで硬派な青春物語で、私の中では、『夜のピクニック』『一瞬の風になれ』と並んで、「青春涙もの三部作」!となりましたよーーー。
ほんとうに、いい本をすすめてくれる友人はありがたいですーー。

主人公は二人の高校生。
警察官の父親の影響で、3才から剣道を始めて、学生剣道界では少しは知られた磯山香織。
彼女にとって、剣道は「武士道」。
「生きるか、死ぬか、殺すか、殺されるか」勝つことが全ての超硬派少女。
無愛想で人づきあいも、かなり苦手。

一方は、これまた事情があって、それまで日本舞踊をやっていたのに、できなくなって、「立ってやる和文化」として少しでもにているから・・・と中学から剣道を始めた甲本(西荻)早苗。
彼女は、自分の成長を楽しむことを第一義に、勝ち負けにこだわりたくありません。
人あたりのよい彼女は、別の見方をすると、こだわることから逃げているのかも・・・。

そんな二人なんですが、マンガ的ではありません(ここが、題名だけで誤解していたところなんです)。
二人ともに、リアリティを持った少女で、しかも、こうした外面なのに内面のみずみずしさがしっかり描けています!!

そんな真逆な二人が高校で出会います。人あたりのいい早苗は、始業式の日から、はんにゃの縫い取りをつけた竹刀道具袋を持ってきた磯山に、くったくなく話しかけますが・・・

実は!早苗は覚えていないのですが、磯山は、中学時代早苗に不可解な負けを喫して、ずっとそのことにこだわりつづけていたのです・・・。

はたして、磯山は、勝ち負けへのこだわりをどうするのか!
早苗は、勝つことの大切さを知るのか!
二人は、真の武士道を知るのか!
そして待っている、衝撃の結末・・・weep

読んでいる人は、もし女の子(この場合、暦年齢がいくつであろうと・・・おばちゃんであろうと関係なく「女の子」)なら、自分の中に、磯山も早苗もいることに気づき、二人ともに、共感をよせ、読み始めるとやめることができなくなると思います。

私もどちらもわかります~。
どちらかというと、磯山ちゃんにやや傾いているかも。
磯山父のような厳格な父に、「うちは薩摩藩の士族だったから」とわけのわからん育て方をされたんで、たとえミーハー心で浮かれていようとも(爆)、キホンは硬派で不器用な武士道ですから・・・。

はたして『武士道エイティーン』は出るのでしょうか・・・。
私としては、磯山ちゃんがまだ決着をつけていないコトが一つあると思っているんですが・・・。
そうです、やつの存在です。

| | コメント (6)

より以前の記事一覧