『戦火のバグダッド動物園を救え』おもしろい本見つけた!
またまたおもしろい本見つけました。
ローレンス・アンソニー&グレアム・スペンス『戦火のバグダッド動物園を救え』(早川書房)です。
今までも戦争ジャーナリストの書く本は何冊か読みましたが、申し訳ないけれど、それらを凌駕するくらい戦争とはどういうものかよくわかりました!
それはなぜかと考えたら、戦争ジャーナリストの方々は命を危険にさらしてはいるのですが、あくまでも「観察者」の目線。
でも、この本の主役ローレンスは、過酷な状況の動物たちと動物園、そしてイラク人スタッフを救おうと奔走する、つまり「生活者」としてその土地に参加して生きているんですね。
そこが「戦争とはどういうものか」より深く伝えることになってるんだと思います。
ましてや、人間でさえたいへんな時に、動物園の動物を救う、ってどういうことだろう・・・
と考えさせられますし。
フセインのバグダッド陥落のニュースに、南アフリカでトゥーラトゥーラという自然保護地区を作って活動していたローレンスは、世界の紛争地の動物園の動物たちが、今までどれほど悲惨で残酷な目にあっていたかを思い出します・・・。
人間が生きのびるさえたいへんなことですから、誰も動物園の動物たちのことまで考えません。
動物のえさより、人間の食料。
自分の家が瓦礫に沈むのに、動物たちの衛生状態など考えられず・・・。
しかし、動物園の動物たちとて、生きているものには変わりない。
自分が行かなければ、と決心するローレンスですが、まず入国するときから、困難と苦労と恐怖が始まります。
そして・・・かつては年間150万人もの人が訪れた、中近東一の動物園だったバグダッド動物園が、今は戦争のレッドゾーンのど真ん中にあり、砲撃や銃声のまっただ中の、アメリカ軍の駐屯地となっていたのです。
清掃するものもなく汚れきった檻、水も食べ物のなく、餓えと病気で死に掛けている動物たち・・・。
めぼしいもののほとんどが略奪者によって奪われている・・・。
アメリカ人というだけで命があぶない状況の中ローレンスは
「自分は中立国南アフリカ人だ!」となんとか主張しつつ、動物たちと動物園スタッフを守るための行動を開始します。
(このあたり、白人というと私も欧米人ひとからげにしてしまうので、ちょっとおもしろかったです)
こういうの読むと、いつも、南アフリカ人だろうがだれだろうが、白人の人たちのバイタリティとワールドワイドな視点や理想愛には驚かされずにはいられません。
『積みすぎた箱舟』のジェラルド・ダレルを思い出します。(この本もすごくおもしろいです)
彼も、絶滅動物を救うための動物園をジャージー島というところに作ってしまったんですよね。
ローレンス・アンソニーのサイトが二つ見つかりました。英語版ですが・・・
Lawrence Anthony Friends and Family
ジェラルド・ダレルの動物園のサイトはこちら。(英語版)
Durrel Wildlife Conservation Trust
11月くらいに、とある場所で「もしも児童文学に国際理解文学賞があったら」というテーマでお話しようという計画があるので、今はいろいろそうした本をさがしたり読んだりしています。
おもしろいのが、今回のこの本の原題がBABYLON’S ARK。(バビロンの箱舟)。
ダレルの『積みすぎた箱舟』の原題がThe Overloaded Ark。(そのまんま)
やはり、こうした方々には、動物を救うということは、「ノアの箱舟」のイメージ(それは人類への罰と再生でもある)と直結するのですね。
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