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2006/03/23

『王への手紙』オランダ発の騎士物語

新聞の紹介で借りてきたのですが、超おもしろい!物語に出会えました。
トンケ・ドラフト『王への手紙』(1961年作、岩波少年文庫)です。
なんと、オランダで作られた少年の騎士前夜の冒険物語です。
架空の国の話なので一応「ファンタジー」のカテゴリーに入れましたが、中は魔法抜きです。

少年ティウリの騎士叙任式は明日。
最後の試練として、同じ叙任をうける少年たちと、聖堂で一晩、「無言の行」をすれば、朝になれば晴れて父のような騎士になれるのです。
そのあいだ、しゃべったり、外に出さえしなければ・・・

ところが。
ティウリ1人が窓のそばにいたため、困った人の懇願の声を聞いてしまうのです。
ティウリは悩みましたが、困った人の声にこたえないで、どうして真の騎士たりえようと、ついに外に出て、答えてしまいます。

そこでティウリは思いがけない使命をうけ、旅立ちを余儀なくされます。
事件や敵にまきこまれ、どんどんと、叙任式の場所からも時間からも遠ざかっていく・・・

しかし、ティウリはまだ騎士になっていないものの、信義を重んじる騎士の心をもって使命をはたす道を選びます。
その道は長い旅に通じます。
そしてさまざまな友、さまざまな敵に出会い・・・

表現はむずかしくなく、ティウリの心が気持ちよく、お話はどんどんと読みすすむことができます。

このお話がさらによかったのは、トールキンと同様ティウリの「行きて帰りし物語」になっているところです。

その意味は実際読んでみるとわかるのですが・・・

そしてこのお話がオランダ発というのも新鮮です。
オランダ人は騎士物語を書いても不自然じゃないからいいなぁ。

でも作者トンケさんは、実は生まれ育ちはオランダ領時代のインドネシア。
そして太平洋戦争が勃発して、日本軍に占領されて、収容所で3年間すごすのですよ。

この日本軍の占領、そしてオランダ人捕虜やインドネシア人への扱いがいかに暴力的でひどいものだったかは、先日読んだインドネシアの高名な宗教指導者サイフディン・ズフリの自伝『プサントレンの人々』(井村文化事業出版社・インドネシアイスラム教やインドネシア人の心のわかるいい本です)に書いてあります。
日本のいじめの風土が悪い形で出ていて、これを読むとはずかしさのあまり顔をふせずにはいられません。
戦後トンケさん一家はオランダに帰るのですが、日本人をうらんでいなければいいのですが・・・

『王への手紙』はオランダでは長い人気をほこり、2004年オランダで過去50年に出版された本の1位にかがやいたそうです。

実はオランダという国は児童文学が豊かに発達している国だそうで、この翻訳者の方のようにオランダ語に精通された方が現れてようやくその世界が日本にも開いてきたわけです。

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コメント

これはおもしろそうなお話ですね。ティウリなども聞いたことのない人なので、これからもいろいろと書いていってくださあい。

投稿: 飴ちゃん | 2006/03/23 23:53

飴ちゃんさん

ほんとうにおもしろかったですよ!
春休み、ぜひたくさんのファンタジー好きの方におすすめしたいです。

投稿: 管理人チョムプー | 2006/03/24 19:58

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