熊川哲也版『ドン・キホーテ』
昨日舞台という点に関して、奇跡のような体験をしました。タイやアジアとは関係のない話ですが、自分の心覚えということで書いておきます。
ニューヨーク駐在時代に、私はミハイル・バリシニコフというバレエダンサーの存在を知り、たちどころに熱烈なファンになりました。彼は70年~80年代を代表する稀代の天才ダンサーです。しかも、少年時代母をなくし、その後当時のソ連から命がけで亡命してきたという孤独と悲劇をひめてきました。とはいっても、彼のキャラクターは陽性で、常にバレエというものに対して真摯でありつづけました。特にバリシニコフがマリウス・プティパの古典的振り付けを再演出したバリシニコフ版『ドン・キホーテ』のビデオは、男性ダンサーの華という作品でもあり、すりきれるほど観たものです。(1983年収録、アメリカン・バレエ・シアター)
現在50才なかばともなり、彼はさびしいことですが既にクラシックバレエシーンに登場することはなくなりました。
そして、今、90年代から現在を代表する天才ダンサーの一人、熊川哲也王子。私は彼を見たとき、彼こそバリシニコフタイプの後継者だと思いました。技術的に飛びぬけた力をもっているだけでなく、「バレエに愛された」人であり、それとともに、天性のものでしかも確信的な「かわいげ、愛嬌、自負」というものを舞台の上で発揮できるダンサーだからです。熊川さんは若くてしかもその才能はすごいので、私はついつい尊敬をこめて「王子」と呼んでしまいます。
そしてその熊川王子が再演出したKバレエカンパニーの『ドン・キホーテ』をついに生でこの目で見る機会が訪れたのです!(以下「ネタバレ」となります)
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